「組織のサイロ化」「30人の壁」で思考を止めない

「組織のサイロ化」「30人の壁」で思考を止めない

この記事を読んでほしい人、書いてること

*想定読了5分程の6000文字の記事です

・人事以外にもシリーズAの組織作りに興味関心がある人、エンペイ/教育/Fintechに興味がある人に読んでほしい

・書いてあることは、シリーズAの弊社エンペイにおいて、30人の壁/組織のサイロ化にどう向き合ったか、という思考のプロセスと施策と成果です。

・書いていないことは、組織活性施策の論理や構造的なあれこれです。

・書いてある人は、エンペイという教育業界の集金をDXする「やさしいFintech」の人事をしている岩﨑というものです。

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組織のサイロ化は悪なのか?

「ベンチャー30人の壁」という単語を皆さん目にしたことがあると思います。

僕の解釈では、中間管理職レイヤーの出現/組織化されたことにより起きる諸問題と理解しておりますが、その影響の一つに「組織のサイロ化(各部署が独立して業務を遂行しているため、互いに情報共有ができない状態)」があると思います。

組織活性は、定性の部分が多く、かつ人間関係や価値観の側面が絡み複雑になりえる分野で打ち手が増えやすい構造にあると思います。

一方でスタートアップでは、リソースが少ないことから「やらない施策を決めることが重要」というのはよく語られることだと思います。また、機能組織に特化することで専門性高いPeople Managementがしやすいという側面もありサイロ化/分科して得ることができるメリットもあります。

組織の脱サイロ化施策は、あった方が良い雰囲気はあるが、忙しい中時間をぬってやる必要があるかどうかを社内で議論/思考したので、その議論の経緯と施策を今回は記事にしようと思います。

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人事施策も悩んだら「それは事業に資するかどうか」をビジネスモデルから考える

エンペイでは(今は)教育業界向けに集金のDXを行うSaaSのプロダクトを開発/グロースしています。我々のビジネスモデルや向き合っているマーケットの属性からして、「テクノロジーで尖る」こと以上に「マーケット/顧客の解像度が高い」ことがポイントだよね、と議論しました。下記、思考/議論のプロセスです。

Sales Led Growth型の営業主導のSaaSやっている以上、どうしても顧客接点は業務上必須なSalesに寄るよね ↓ 組織がサイロになっているとコミュニケーションコストが高く、せっかく得た顧客接点によるナレッジが全社に共有されにくくなるため。結果として顧客理解の解像度が低くなりプロダクトのクオリティが落ちる可能性があるよね ↓ より掘り下げるとSalesの接点はどうしてもプロダクト利用前の新規顧客に偏るのでここだけが解決すれば良いという話ではない。CSの既存顧客のサポート、Designerのユーザーインタビューと色々なチームがそれぞれ専門とする領域で多様なユーザー理解をしていて、基本的に現場が一番正しいので、それをフラットに議論してプロダクトへ還元する土台、カルチャーづくりが大事だよね

タイミングとしても、プロダクトの強さが生命線のシリーズAにおいて、プロダクトの価値を毀損する可能性あるので、優先度上げて取り組む必要あるよね

つまり、エンペイにおける「組織のサイロ化」の課題は「シリーズAにも関わらず組織として顧客/マーケット解像度が低い状態で判断のクオリティ落とすのがイケテないよね」という課題設定を行いました。

*画像は我々の戦い方を整理した概念図。今見ると、競合他社の解像度が低い気がする。

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組織活性は「強烈にやりたい人/コトに尖って」MECEじゃなくてもいいじゃない

次は打ち手設計です。

何事でもそうだと思うのですが、何か物事を一歩目で始める時は、兎に角モメンタム/勢いを作ることを大事に、強烈にやりたいコト/人に尖っちゃっていいと思います。綺麗に整理するのは勢いが落ち着いてきたくらいがきっとちょうどいいんじゃないでしょうか。

そういうコンセプトで、先ず下記3つの打ち手をやってみようとはじめました。

① 営業同行をしようキャンペーン

30人を超えつつあると、組織が分化していき下手をすると顧客をイメージでしか知らない従業員が発生してきつつあります。我々のビジネスの原点である、顧客の解像度を高める為に営業同行を任意で募集し実施しました。

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MIX よもやま会(とりとめのない話をシェアする場)

「筋肉で殴る」様な施策なのですが、異なる部署の3人を1時間のオンラインの場を設け、そこで「プライベートの話」「仕事をする上で知っておいてほしいこと」をオープンに話す機会を設けました。

勿論、自然と雑談が増える様なCoolな施策も良いのですが、シリーズAの規模においては「全員で課題感を共有し、捻らずにダイレクトに協力してほしいことを伝える」「オープンに直接話すことがイケてる文化」を作って行きたかったので、筋肉質な打ち手ではありますが実施しました。

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③ 氷山ラジオ(氷山の一角、のように成果の手前にあるプロセスを表出するラジオ)

これは課題感からではなく、「プロセスを表出し褒め称えあう文化を作りたい」×「流行りの音声コンテンツを使ってなにかしたい」から産まれた施策です。DJが従業員から推薦された社員をピックアップし、普段見えない業務のプロセスを表出する音声コンテンツです。

個人的には課題/ゴール起点の施策が7割、残りの3割くらいは兆し起点や個人のWill起点にノリよくやってみて良いと考えています。

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会社として顧客/マーケットの解像度が組織単位で上がって、カルチャーができつつある

定量的な成果としては、下記図表の様に会社全体の一体感を感じるスコアが大幅に上昇しました。また以前には散見された「一次情報や顧客インサイトに対する現場感/一体感が少ない」というコメントもほぼ0件になり、目的としておいていた「組織として顧客/マーケットの解像度を高める状態」には一定度実現できたのではないかと思います。

具体の影響としては、Sales以外の他職種の方が商談同席やユーザーインタビューへの同席→後日内容をまとめてProductに共有することで「一次情報を一緒に収集する、それを浸透させるという活動」することができ、それによって一体感を増してきていることを感じます。

*画像は組織毎の『同部署内だけでなく、会社全体で一体感を感じることができているか』のスコアをNPS形式で算出したもの

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また面白いことに、組織活性の施策が活発になると同時に、メンバーから「より組織活性にコミットをしたい!」という声が産まれて、人事を介さずに現場起点で全従業員任意参加の「Looftop Day」という場が開催されました。これはGatherの屋上(Looftop)で金曜日の夕方にChillにメンバーお互いをわいわい賞賛し合う会です。

*屋上のRoofと、アフリカーンス語の「褒める」Loofをかけた、金曜日夕方に不定期開催のLooftop Dayの画像。HR抜きで開催された。クオリティ自分より高くて嫉妬した。

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人事側で行った施策の目的との重複などはあるのですが、個人的には物事が始まる際には一定度のカオスを許容し、とにかくWillを最大限に引き出して初回を盛り上げ、モメンタムつけることが組織活性ではポイントかなと考えてます。(僕も、参加者として参加したけどクオリティ高くて驚いたし、楽しかった)

こういった施策を積み重ねるごとに会社のカルチャーが積み上がっていくことを感じます。まだ言語化の途中ですが、「チームで勝つ」「その為にWork Out Loudする」あたりのカルチャーが醸成されつつあると感じており、これはエンペイのビジネスモデル/向き合うマーケットとの親和性も高いなと感じています。

今後について

1~2ヶ月は施策に重複があるカオスを許容しながら、10月頃を目処に何を捨てるか/どうシンプルにしていけるかを検討したいなと考えています。まだまだエンペイは30人の壁をみんなで乗り越えようとしている段階です。

採用も絶賛OPENしているので、興味あれば是非お話しをしましょう!

会社紹介資料

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まだまだ「人がいて、仕事が生まれる」フェーズですので、特定職種に限らずお茶を気軽にしましょう!きっとそんな時代!

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