リファレンスチェックを導入してよかったこと、そうでなかったこと

リファレンスチェックを導入してよかったこと、そうでなかったこと

この記事はなに?

最近、日本の企業でも採用の段階で「リファレンスチェック」を導入するケースを耳にします。一方、候補者視点では「まだまだ目新しく、負担であるもの」「何となく避けたいもの」というイメージが強いのではないでしょうか。 Fintech×SaaS事業を行うエンペイは2022年から試験的にリファレンスチェックを導入してみました。この記事は、リファレンスチェックを検討している人事担当の方や、採用動向に興味の方ある向けに、弊社での定量/定性面での結果をまとめたものです。 *想定読了時間は3分 *記事書いた人は、エンペイHRの岩﨑というものです ▼リファレンスチェックの定義について(参照:リクルートダイレクトスカウト記事)

リファレンスチェック(Reference Check)は、企業が応募者の身元照会・人物確認を行うために第三者に対して行う調査のことです。現職(前職)の上司や同僚に、応募者の業務実績や人物像などを確認の上、書類・面接の内容と実際の姿のギャップがあるかを把握し、採用の判断材料とします。

【忙しい人むけ】エグゼクティブサマリ

  • リファレンス回答率は約97%だった。水漏れは想定より少なかった。
  • 紹介されたほとんどの人は「酸いも甘いも率直に丁寧に」候補者のことを教えてくれた。
  • 思ってるよりも「同僚が等身大でフィットする会社に入ることを応援する」人は多く、気が付かない優しさに溢れているのかもしれない。
  • それでも、まだまだ依頼される側の負担は軽くない。事前の説明などの丁寧なコミュニケーションが必要。

【経緯】採用の量と見極めの質の二兎を追う必要があり、back checkを選んだ

シリーズA投資を終えて、組織拡大をしていくタイミングで採用を増やす必要が当時ありました。どの会社もそうですが、人を増やしたいと同時に「自社にマッチをする人に入って欲しい」「コンプライアンス等をしっかり守れる人に選んで欲しい」という思惑が弊社にもありました。

その手段の一つして「リファレンスチェック」のback checkさんを導入しました。観点は諸々あるのですが、決めては「UXがイケてること=候補者の負担を増やさない」ことでした。当時の論点として「リファレンスチェックを導入することで辞退が増えないか?」という懸念があり、少しでも「候補者の負担を減らそう」ということでback checkさんを導入しました。

またタイミングについても「リファレンスチェックの依頼の存在は選考開始に事前説明を行い」「実際のリファレンスチェックは(一定度、会社への興味が高まった)最終面接前に行う」にすることで、少しでも心理的負担を軽減しました。

画像はBack Checkのフロー図。候補者視点でのサポートページも充実して分かりやすかった。
画像はBack Checkのフロー図。候補者視点でのサポートページも充実して分かりやすかった。

【定量結果】約97%が回答してくれた

回答人数や関係性などは指定することもできますが、エンペイの場合は候補者の負担を最小限化すべく回答人数は2名とし関係性は指定していません。

2022年4月から、最終面接前に依頼した人は32名でした(但し、途中での辞退は除く)

内、回答をしてくれた人は31名と約97%の方が回答してくれてました。

この数字をどのように解釈をするかですが、水漏れ3%で採用における「マッチングの質をあげる」「多角的な視点で確認をする」ということだと費用対効果は良い方だと感じました。実際に水漏れは「もっと多いのでは」と想定していた中で、非常に少ない数字に留まり助かりました。

但し、この数字を持って「候補者の負担が少ない」とまでは判断できません。寧ろ事前の丁寧な説明や、選考を通した動機付けがあって初めてこの数字に推移したと捉えるのが良さそうです。

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【定性結果】想定以上にみんな「同僚のキャリアを支援」したい

よかった事として、殆どの紹介先の知人が「候補者と企業の良いマッチングを支援」する為に、酸いも甘いも書いてくれました。特に多かったのは「マネジメントをする上で、XXXな環境があると能力を最大限引き出せる」「YYYな環境では強みが引き出せないのでサポートして欲しい」などの、「評価者として断ずる」立場ではなく「客観的な支援者」として書いてくれたコメントが非常に多かったです。

コメントの内容は個別しっかりと確認をしますが、社内slackでは「ここまで応援される候補者は素敵な方に違いないね」と会話をされるシーンは多々ありました。

BackCheckをみたCTOの感想。推薦コメントは思ったより愛に溢れている。
BackCheckをみたCTOの感想。推薦コメントは思ったより愛に溢れている。

一方で課題として感じたことは、それでもやはり候補者側の負担は心理的に高いように感じるシーンが多々ありました。但し、工夫のやりようはあるかなと感じます。先述した様に、事前に丁寧に候補者に説明を行うことや、率直に導入する背景を包み隠さずお話しすることで、逆に信頼をいただけたシーンもありました。

また、これは仕様上やむなしかと思うのですが、回答者が候補者のことを高く評価している人に寄ってしまうという課題も感じました。但し、だからと言って忖度した回答ばかりになかったのでこれもクリティカルな問題だとは感じませんでした。 総評として、今回BackCheckに対する投資(お金、水漏れ率など)に対して、得られたものは非常に大きかったという所感を受けています。2022年4月以降にエンペイを選んでくれた社員の中で、退職者は2023年度3月時点の約1年の間で0名であることも嬉しく思います。

【ポエム】知恵や信頼が個社に閉じない時代は不可逆

ここからはチラシの裏の書き散らしです。

転職は珍しいものではなくなり副業も国策として推進されている時代において、今まで個社に閉じていた知恵や信頼がマーケットにどんどん分散されている様に感じます。この流れはきっと暫くは不可逆で、日本全体ではまだまだキャズムを超えないあるいは超えつつある段階なのだと思います。その落下地点の先でミットを構えている会社が今回のBackCheckやキャリアSNSの事業を行うYOUTRUSTであり、彼らにより落下速度は増すのだと感じております。

back checkで回答された内容は候補者へ開示をしていませんので、候補者は「自分がどれだけのコメントを書かれているのか」という事を知るすべはありません。きっとこれと同様に、自分の知らない所で、自分の信頼情報は想像以上に巡り回っているだけでなく、想像以上に応援してくれている人が多いのだと思います。(実際にこれを検証する方法はないけど、そう信じた方が色々引き寄せてくれそうですよね)

こんな時代だからこそ、キャリアにおいて「焼畑農業をしない」ということがより大事になるのではないかと思っています。(実際の焼畑農業の効能はさておき)ここでは「一つの業界/会社において信頼をなくして、人間関係をリセットし次の環境へ飛び込むこと」とおいています。もちろんリセットして逃げた方がいい時もあるけど。 この考えは道徳的に云々以上に ・焼畑農業をするほどまでに日本のスタートアップは広くない小さな村 ・焼畑農業でキャリアを築くことは長期的にみてコスパが悪いのではないか という打算的な感覚の方が強いです。 そしてこんな時代だからこそ、人事として、エンペイという場が今いる社員にとって「焼畑にならない」様に支援をしていきたいと思います。

焼畑農業。実際に農業で行われる焼畑は悪い事ばかりじゃないが、伝わりやすくて引用してる。
写真引用:

最後に

エンペイではセールス、CS、エンジニア、デザイナー・・と、さまざまな職種採用中です!採用ホームページはこちらです。

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