弊社(エンペイ)ではつい最近まで正社員のデザイナーが1人もいない、ヤバい…という状態だったのですが、最近ようやく1人目デザイナーを採用することができました!
そのプロセスの中で、デザインに対する認識の誤り、デザインとの本質的な向き合い方について学びがあったので、紹介していこうと思います。
- デザイナー採用できない
- うちの会社のデザインの考え方、大丈夫?
と思われている方の少しでも参考になればと思います。
ところでエンペイはどういう組織なの?
エンペイは2021/5現在、30人ほどの組織です(業務委託も含めると40人ほど)
うちプロダクトに関わるメンバー(PdM、エンジニア、QA…etc)は13人ほど
持論ですが、SaaSにおけるプロダクト系職種は全社の30~40%あたりは必要かなと思っており、そういった意味で比較的Product,Bizのバランスが良い組織ではないかなと思っています。
元々エンペイはCEOとCTO(私)の2人で初めた会社です。初期は開発会社や業務委託の手も借りながらプロダクトを作っていました。
プロダクトマネジメントトライアングルでいうとビジネス、テクノロジーが埋まっておりクリエイティブが不在な状態です。
ただ私もCEOもどちらもPdMや新規事業立ち上げをしており、UX周りの経験が0ではなかった&立ち上げ期特有の必要なことは何でもやるマインドもあり、足りないクリエイティブもカバーしながら進んできました。
参考) CTO兼PdMとしての 戦いの記録
https://www.docswell.com/s/hikoharu/K3LQE5-2022-04-12-201528/1
その後も、引き続きプロダクトをエンハンスしていきますが、今振り返っても結構上手くいっていたのではと思います。
常にユーザーにとっての価値をベースにビジネス、テクノロジーの観点も含め総合的に議論していました。リソースは笑ってしまうくらいなかったので、「何をどの順番で作るか」について非常にシビアな判断をしてきたと思います。
UI/UXに迷うところはありましたがユーザーヒアリングしたり、類似のサービスのUIを研究したりしながら改善を重ねていきました。
そうこうしているうちにシリーズAに突入し、これまではステルス、5名ほどのスモールチームでしたが、成長スピードを上げていくために採用に力を入れ、結果として1年で 5人→30人にまで拡大することが出来ました。
エンジニア採用についても相当苦戦しましたが、元々厳しいということはわかっていたためシリーズA前にゆるく母集団形成をしたり、色々備えていたこともあり、何とか戦えているという状態です。 (それでも目指す成長スピードに対しては足りていませんし、おそらくこれからも充足したと感じることはないと思います 笑)
toBのプロダクトデザイナー希少種すぎる問題
これまでは副業、業務委託中心でコミュニケーションコストも高く、なかなかサービスの細かい磨き込みできる体制ではありませんでしたが、エンジニア、PdMの採用も進み、高速にサービスを磨ける内製開発の体制が整ってきました。
そこで、いよいよデザイナー採用を本格的に開始しました。
デザイナー採用も大変になるとは思っていましたが、色々調べていくと、そもそもデザイナーの中でも
- グラフィック寄り。マーケティングに強み
- UX寄り。プロダクト開発に強み ← 探しているのはここ
の大きく2つに分かれており(細分化するともっとある)、プロダクトのUI/UX領域で活躍できるデザイナーは思いの他少なく、さらにtoC、toBなどプロダクトの性質により志向性、スキルセットの違いが大きいです。
加えて、我々は教育 * Fintechの集金業務のSaaSという、共同創業者の自分で言うのもアレですが、正直かなり渋めなプロダクトを作っていると思います 笑
「もしかして我々のドメイン、toB SaaSにプロダクトデザイナーとしてフィットする人、思っていたよりも遥かに少ないのでは…?」
と急速に不安になってきました。
とにかく何もわかっていないことに危機感があり、試行錯誤して学びを得ないことには何も始まらないので、採用活動は続けながら、並行してあわよくば正社員化を狙った副業採用を始めました。同時に学生インターンを採用し、まずはチームとしてデザインに取り組めるようにしていきました。
このあたりは残念ながら入社には至らなかったものの、エンペイのデザインを大きく進めてくれた、スーパーデザイナーのnishidaさんがブログにまとめてくれています。
https://note.com/nikoko/n/n35481ae16dab
狭すぎたデザインへの解釈
突然ですが、会社としてデザイナーに求めることは何でしょうか?
私は当時はプロダクトのUI/UXを改善していくことだと思っていました。今思うと、とても狭い解釈だったなと反省しています。
数年間サービスを提供し続け、組織もスケールしていくとプロダクト以外にも様々な課題を感じることが増えてきました。
- プロダクトのUIの改善が今ひとつ勢い出ない
- プロダクト、LP、営業資料などで徐々に整合性が取れなくなってきている
- valueが浸透しない、何かコミュニケーションが上手くいっていない気がする
色々な要因がありつつ、上記に共通するポイントとして、会社としてデザインの力がないのが1つの大きな原因ではないかと感じてきました。
必要なのはプロダクトのUI/UXを考えられるデザイナーだ!と思っていましたが、デザインというプロセスはプロダクトやマーケティングに閉じたものではなく、もっと奥深い所にあり、会社として向き合わないと取り返しのつかないことになるのではないかということに気づきました。
デザインの解釈をもっと広げる必要があることに気づいてからは、業務委託で関わっているデザイナーに色々教えてもらったり、参考になる記事、書籍を読んだり、Meetyなどで話を聞いたりし、上記の仮説の肉付け、言語化を進めていきました。
私自身はエンジニア、PdMを経験してきましたが、会社としてプロダクト、エンジニアリングを軽視してオペレーター、作業者として扱うような組織では働きたくないですし、エンペイとしても専門性をリスペクトする組織にしていきたいと思っています。
デザインについても同じように、プロダクト作りのための1要素として考えるのではなく、もっと解釈を広げて概念化し、会社として深い所でデザインの価値にどのように向き合っていくかを考えていくことが必要ではないかと思いました。
もしや、採用でも活かせるのでは…?
これまではカジュアル面談ではいかに良いプロダクトを作っているか、この先も面白くなっていくか話すことが多かったのですが、上記で考えたデザインとの向き合い方について話すようにしていきました。
当然まだ考えているだけで、プランとしてまとまっているわけでも、まさに今何かが具体的に変わっているわけではないのですが、これまでの間違い、課題、将来どうなっていきたいかを正直に、オープンに話していきました。
そうすると徐々に候補者の反応が変わっていくのを感じていきました。
これまで
私 「今、うちのプロダクトはこのような課題を解決していて、この先こんな展開を予定しています。
コミュニケーションやプロセスはこちらです!」
候補者 「おー、良さそうですね」
私&候補者 「・・・」
今
私 「今、うちのプロダクトはこのような課題を解決していて、この先こんな展開を予定しています。
コミュニケーションやプロセスはこちらです!」
候補者 「おー、良さそうですね」
私 「ただ、まだデザインの力が足りないと感じています。
そもそもプロダクトだけではなく、他にもこんな問題も起きています。
これは根本を考えていくとデザインの問題だと思っていて、
会社として取り組む必要があり、このような仮説を考えています」
候補者 「なるほど...それについては私も思うところがありまして」
- 今の会社の中で満足はしているけど、本当はデザインの力でもっとこういうことやりたいんですよね
- 他の職種も巻き込んでいきたい。会社としてデザインを大事にして、誰しもがデザインをできるようにしたいんですよね
- デザインを大切にする、専門性をリスペクトするような文化を作っていきたいんですよね
- もっと事業にデザインで貢献していきたいんですよね
という、より深い価値観の部分について活発にディスカッションできるようになっていくのを感じました。
カジュアル面談をしても、また機会があれば…と終わることが多かったのですが、ぜひ他の方とも話したい、継続的に会話していきたいです!と次以降に発展することが増えていきました。
そんなこんなで、約1年もの間試行錯誤しながら探し続けたのですが、このやり方を取り入れたところ3ヶ月ほどで、1人目のデザイナーを無事お迎えすることができました。
この取組みが本当に効果があったのかどうかはわかりませんが、それについてはいずれどこかで語ってもらおうかと思います…
おわりに
エンペイではデザイナーをまだまだ採用中です!
エンペイはこれまで1つのプロダクトでしたが、マルチプロダクト戦略を徐々に取り始めています。
新規プロダクト開発も始まり、成長を加速させるために、今後も継続的に新規プロダクトを立ち上げて行く必要があると考えています。
基本的にプロダクトごとにPdM、デザイナー、エンジニアで構成されるチームを作っていきたいと思っています。
加えてマルチプロダクトを展開しつつも
- 会社として将来の拡張も考慮し、統一性あるデザインになっているか
- そのデザインは会社のコアであるmissionと一貫性があるか
- ステークホルダーに触れるあらゆる場面を考慮できているか
など考えることは山積みです。
これらは必ずしもデザイナーだけが行うわけではなく、デザインという概念を組織の深い部分にインストールし、誰しもがデザインの力を使いこなすことができる状態を目指して、リードいただきたいと思っています。
少しでも興味を持たれた方がいれば、ぜひカジュアル面談しましょう!
Meetyはこちらです!